□クリスマスだから。
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あー、もううっせ。

宴会がはじまって二時間もないうちに、盛り上がりは最高潮に。

…まぁ男ばっかだし仕方ないっちゃあ仕方ねぇけど。

とか、言ってる俺も結構酔ってたりするんだけどね。
あ、ちゃんと成人はこえてますから。


時刻は十時。

なんだよ、まだこねぇのかあの天パ。
死ねボケ。


あ、総悟発見。
近づく俺。

総悟は誰と話すでもなく、…いや、土方の食べようとするものを奪って食べていた。

土方の頭には怒りマークが二個、いや三個、四…あぁもう数え切れねーよ。

夢主「そーごぉぉぉ」

沖「わ、夢主さんフラフラじゃねぇですか」

土「…あ?百獅鬼か。おい、お前総悟に言ってくれ。頼むから死んでくれって」

夢主「いーんじゃねぇすかー?今日は無礼講ー!」


土方の肩をぐわし!と寄せる。

夢主「なんなら俺が食わしてやりましょーかー、つってー?」


あひゃひゃ、と笑うと土方はドン引きしたような笑みを見せる。

土「…お前冷静そうにみえてだいぶ酔ってるだろ」

沖「ふっ、このまま意識ぶっ飛ぶまで呑ませたら…」

土「何考えてんのお前」


あー…、土方の肩、なんかちょーどいい。

眠い…、


夢主「ぐぅ……」

土「おま、ちょ、俺の肩で寝るな!」

夢主「いーじゃねぇすか今日位ぃ!銀時こねぇーよぉー、銀時ィー!!」


耳元で叫ぶと、ぶっとばされた。

いてぇよばかー。


土「おっまえ、普段眠い時あんだけ機嫌悪いくせに酔うとそれだからタチ悪い、お前書類倍増な。」

夢主「うるせぇ死ね土方」

沖「夢主さん、土方の肩なんかじゃなくて俺の肩なら年中無休でかしやすぜ」

あら可愛い。
本当、弟にほしいよね。

夢主「総悟ー、でも俺寝ちゃうからダメだ」

沖「こんまま寝ちまって旦那も忘れたらいいんでさァ。じゃあ俺が奪ってやるんで」

笑ながらそう言う総悟に土方がチョップをいれる。

お前何言ってんの、から始まる土方と総悟のじゃれあい…いや、殺し合い?


なんだかんだ仲いいじゃねぇかお前ら。
あれ?良くないのか?

…まぁどーでもいいやぁ!


銀時がこないです。
はい、もう、なんだよ!
寝ちまったのかな…
あんなちゃらんぽらんでも神楽や新八、それにお妙なんかが銀時を一人にするわけないし…。

今日は会えないと思った方がいいのかなー、とか、いや、でも会う。
じゃないと俺が耐えられない。


俺なんかほったらかしてわちゃわちゃやりだした馬鹿二人はほっとこう。

適当に廊下に出て、風当たりのいいところをフラフラと歩く。



夢主「はぁー…」

ふと、ついたため息。

山「ため息ついてたら幸せ逃げますよ、夢主さん」

聞こえた声に反応にして振り向くとそこにはコップに入った水を片手に、苦笑いする山崎がいた。

夢主「山崎か、どうしたんだ?」


まずはじめに疑問に思った事を問う。

山「いえ、フラフラした夢主さんが出て行ったのでお水でも、と思って持ってきました」

夢主「え、あ、それ俺のための水?」

山「そうですよ」


気が利くなぁ、山崎は。

差し出された水を飲もうとすると、更に出される手。

山「二日酔いしないように、薬です」

夢主「…お前良い嫁になれるよ」

山「嫁にはなりませんよ」

笑う山崎を尻目に、薬を口に放り込み水を一気に飲み干した。

夢主「ありがと」

山「いえ、それより万事屋の旦那は…」

夢主「んー…、来いって言ったんだけど」


来やがらねぇし、あの馬鹿。

夢主「…本当に俺のことどうでもよくなっちまったのかな」

山「…来てないんですね。きっとあの人の事だから理由があるはずです」

夢主「いいんだ、あいつの周りに人がたくさん集まるのは前からだ。ただ、まぁちょっと…嫉妬するというか」

山「ふふ、…夢主さんから会いに行けばいいじゃないですか」


なんで笑うんだよ、笑うとこじゃないぞ。

夢主「まぁ、そうだけど…」

山「何で行かないんですか?」

夢主「…嫌われたのかな、とかいろいろ考えちまう。新八や神楽にそれはありえないって言われたけど、不安にはなる。」

山「はぁー…」


た、ため息つかれた…
俺なんか変な事言った?

山「もう、馬鹿ですね夢主さんは」

呆れた顔をすると、勘弁、とでもいうように両手をあげた。

山「言うなって言われたし、これは僕しか知らない事ですけどね。…旦那は何度もここにきてますよ」

夢主「…え?は、?」

山「何回も夢主さんを覗いては、ずいぶんとへこたれてたみたいですよ?なんで夢主はあんな平気な顔してんだーっ、て」


平気?
平気じゃねーよ!

ただ仕事とプライベートは別だし…
て、普通な顔して頭ん中銀時ばかりだったし、

書類だって全然進まないし、てかあいつ何やってんだ馬鹿か。

これじゃここのゴリラ局長と一緒じゃねぇか。


夢主「平気じゃなかった、けど。一応…」

山「分かってますよ、いつも書類きっちりやる夢主さんが遅れて出しましたもんね。きっちり僕に回ってきました」

夢主「う…すまねぇ」

山「謝らないでいいですよ、…それより、旦那は待ってますよ。きっと」

夢主「…来いって言っ」

山「言いましたね?何度も来てます。そしてヘコんでます、…夢主さんから行ったらいいじゃないですか、そんなに会いたいなら」


…でも、嬉しいな。

心配して、来てくれてたのか。


山「そ!れ!に!」


ズン!と押しよってくる山崎。

夢主「お、おう?」

山「夢主さん、沖田隊長にベタベタしすぎです!しっかり膝枕目撃して、しっかりヘコんでいきました!!」

夢主「いやっ、あれは違っ…!」

山「隊長が夢主さんに気があることはもう皆が知ってます!旦那だって知ってます!そして、喧嘩中にそんなところを目撃したんですよ!」

夢主「はい…」

山「夢主さん、キツイ事言いますけど、わがままですよ。旦那がもし誰かに膝枕されてたら、夢主さん怒って口聞かなくなるでしょ」

夢主「…確かに」

そうだ、うん…はい、そうです…
嫉妬します、普通に。

あぁ、俺馬鹿だ…

夢主「……」

山「…夢主さん、会いに行って下さい」

夢主「……わかった」


首を縦にふると、山崎は嬉しそうにして「少し待ってて下さい」と、俺からコップを奪うように取って走って行った。


…確かに俺自分の事ばっかで、銀時に対して嫌な事されたとしか思ってなかったな。

嫉妬、…はぁ、嫉妬か。

そりゃ嫉妬しますよねー、さすがに膝枕は。
ちゃんと謝ろう。



空を見ると、もうそこは真っ暗で大きな月が凄く映えて見えた。

…銀時と見に行こう。
夜は長いんだし


すこしすると、また山崎が帰ってきた。

夢主「なんだったんだ?」

山「マフラー取ってきました!」

夢主「あぁ、ありがとう。いつ返せば…」

山「返さなくて結構です。…それ、旦那からのクリスマスプレゼントですよ。渡してくれって」

夢主「…ぅ、」



…やば、にやける。

夢主「ま、じか…」

山「ほら!にやけてないで行って下さい!」

夢主「わ、分かった!ちゃんと誤ってくる!」

山「頑張って下さいね」


手を降る山崎に応えて、俺は万事屋に向かった。
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